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日本に必要なのはプレミアムフライデーではなくバカンス制度だ

Caribbean World Resort

先日、経済産業省と経団連をはじめとする団体が毎月末の金曜日を「プレミアムフライデー」として、午後3時退社するという取り組みを始めました。

「プレミアムフライデー」の月末金曜は3時帰りを 経済界など呼び掛け :日本経済新聞

プレミアムフライデーには賛否両論があるようですが、それでも日本人の労働時間を長時間化の歯止め策としてはありだと思います。
ですが、プレミアムフライデーよりも日本人が望むべきは、フランスをはじめとした国で導入されているバカンス制度ではないでしょうか。

バカンスとは

バカンスというと南の島のリゾートで遊んでいるイメージが浮かぶ人が多いでしょうが、それは半分正解です。

バカンスまたはヴァカンス(仏: vacances)、とは、主としてフランス人の長期休暇の過ごし方、もしくはそれを意識した長期休暇の呼称。

バカンス - Wikipedia

バカンスという言葉は長期休暇の意味なので、誰かしもが南の島のリゾートに行っているわけではありませんが、それでもバカンス期間中のフランス人の大体は海を臨むリゾート地に赴くみたいです。

フランスの法律では、休暇は連続5週間まで取得可能となっている。夏季には企業経営者から労働者(従業員)まで、数週間のヴァカンスを、子供たちも2ヶ月間のヴァカンスをとり、思い思いの過ごし方で楽しむ。フランス人にとっては「人間が元気に生きていくため必要なもの」となっている。一般的なスタイルのひとつは、(日本で一般的な短期周遊型の休暇と異なり)夏季に連続1ヶ月ほどにわたる長期滞在型休暇を過ごす、というものである。

そしてこのバカンス、驚くことにフランス人なら社長から一般社員まで誰もが取得できるのです。
盆と正月の数日間ぐらいしかまとまって休めない、そのまとまった休みの期間さえも短い日本人にとっては羨ましい限りですね。

ガムシャラに働けばいい時代はとうに終わった

何も考えずに手を動かし続けていれば、社会も自分の暮らしも良くなっていた時代はとうに過去の話です。

ビジネスのスピードが加速し続ける今、たいていの課題は長時間働くだけでは解決しないものばかりです。
ですが、「手を動かし続けていれば、社会も自分の暮らしも良くなっていた時代の人たち」が社会を牛耳っているためか、目の前の課題を長時間労働で解決しようとする節があります。
かくして長時間労働が常態化し、定時という概念が希薄になっています。
この状態は明らかに異常なのですが、これを規制する労働基準法が実質機能していないので、日本の企業は無法地帯といってもいいでしょう。

こうなると当然、労働者は肉体的な疲労の蓄積は当然、精神面でもうつなどのメンタルヘルス異常が現れます。
また、男女の出会いの機会も、子育てする余裕も失われ、少子高齢化による国力の低下にも拍車をかけています。

はたらけど はたらけど 猶わが生活楽にならざり
石川啄木の詩は生活水準が格段に向上した現代においても、意味を変えて響いてきます。

これでは日本の労働者は何のために生きているのかわかりません。
「社会の歯車になりたくない」と労働者を否定するセリフもありましたが、そんな歯車は今ではまだマシな方。
今の日本の労働者は歯車ですらなく、機械を動かすために燃料として焼べられる薪です。

こんな日本の労働者がせめて人間らしく生きるために必要なのは休息、それもバカンスなどの長期休暇なのです。

バカンスは労働者が勝ち取るもの

国や企業は、労働者にはできれば24時間365日働いて欲しいと思っています。それも驚くほどの低賃金で。
建前ではどんな綺麗事を言っていたとしても、腹の中ではそう思っているでしょうね。
中には建前で包み隠さず、「残業代はビタ一文払うな!」と言ってくれる正直で親切な経営者もいますが。

残業をしなきゃ日本の質は下がる! - Togetterまとめ

残業問題で失敗。経営者はみんな残業代は払いたくない、って思ってる | 社畜る

今回のプレミアムフライデーにしても、長時間労働問題が過熱しつつある現状を鑑みてのガス抜き程度のものでしょう。
こう言った事情を見る限り、国や企業は労働者の労働環境を抜本的に改善することにはないんでしょうね。
なにせ労働環境の実情がどうであれ、見せかけにはそれなりにうまくいっているように見えるのですから。

バカンス制度の導入、労働環境改善、そのためには労働者が戦う必要があります。
データでは顕在しない実情を、生の声で叫ぶ必要があります。

そもそも、フランスのバカンスにしても労働者が血と汗と涙を流して勝ち取った権利です。
決して、ある日突然天から降ってきた権利ではありません。

指を咥えているだけでは快適な労働環境やバカンスを手に入れることはできません。
今こそ労働者自ら立ち上がる時が来たのではないでしょうか。