とらさぶろぐ

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ピストに乗ってバンクを走って来ました

普段はシクロクロスバイクやロードバイクに乗っている私ですが、この度ピストバイク&バンクデビューしてまいりました。

馴染みの自転車屋さんが自転車競技場を走る走行会を催していたので、そこに申し込んで走ってきました。 自分のピストバイクを持っていなくても、ピストのレンタルが可能だったので手ぶらで行って思う存分走ってきました。

ピストバイクとは

ピストバイク、またはトラックレーサーと呼ばれる自転車は競技用自転車の一種で、バンクと呼ばれる反り立つ壁が備わっている競技場(トラック)を走るための自転車です。 日本でピストを用いる競技というと競輪を思い浮かべる人が多いでしょう。

ピストの主だった特徴は以下の通り。

  • 変速機がないので、ギア比は固定
  • フリーがないため、車輪が回り続ける限りペダルも回り続ける
  • ブレーキがなく、制動はペダルを逆回転して行う

これらの特徴から、ピストの見た目はシンプルです。 その為か、十数年前に若者に大いに受け入れられ、当時の若者のファッションに取り入れられました。 こうして日本にトラック競技人口が増えた・・・訳はなく、彼らは競技場専用のピストを街で乗り回すようになったのです。 当然、ブレーキのないピストを乗り回すことで自転車の危険運転や事故が後をたたなくなり、社会問題に発展するまでに至りました。

ピストと聞くと、いやむしろスポーツ自転車と聞くと嫌な顔をする人がいるのも、上記のような経緯があったからです。 このピストへの非難は今に至るまで根強く残っており、しばしばピストの風評被害を受けるスポーツ自転車に乗るサイクリストにはピストを忌避する人も少なくありません。

美鈴湖自転車競技場

さて、今回私がピストに乗ってきたのは当然公道などではなく、バンクのあるれっきとした自転車競技場です。

私の住む長野県の中信地方には美鈴湖自転車競技場があります。

松本市美鈴湖自転車競技場 | 日本自転車競技連盟 WEB SITE

競技場の場所は浅間温泉から美ヶ原に登っている途中にある美鈴湖の近く。 サイクリストならツール・ド・美ヶ原の激坂の先と言った方がわかりやすいかもしれません。

この美鈴湖自転車競技場は2015年に完成した新しい施設で、施設もバンクもきれいです。 美鈴湖自転車競技場は1周333.3mと、バンクとバンクの間隔が日本で一般的な400mトラックより短く、国際的な250mトラックに近いと言ったところでしょうか。

ブレーキなし。問題なし。

ピストはご存知の通りブレーキがない自転車です。 制動はペダルを逆回転する事で行います。

公道ではこんな自転車に乗るなんて正気の沙汰ではありませんが、ことバンクのある自転車競技場に関してはむしろブレーキがない方が安全です。

その理由は自転車競技場特有のバンクにあります。 バンクは壁のようにそり立つ急斜面ですが、そこをそれなりの速度を維持した自転車が走ると、バンク中央へ倒れる力と遠心力が釣り合って、自転車は倒れることなく進みます。 これはバンクの下部であっても頂上であっても同じです。

そして、バンクを走るときはブレーキがないピストの方が安全な理由は、ブレーキをかけられないために急に推進力が落ちないからです。 ピストの制動はペダルを逆回転することで行いますが、仮にバンクで逆回転の制動をしたとしても、推進力を失う頃にはバンクを走り抜けています。

ですが、ロードバイクなどのブレーキがある自転車に乗って、もしバンクに怖気付いてブレーキをかけてしまった場合、車体は推進力を失ってバンクから落下します。 バンクの高い位置から落ちたら大怪我は免れないでしょう。

競技場においては自転車はスピードが出ている方が安全なのです。 こういう感覚は公道を走ることがメインのサイクリストにとっては信じられないかもしれませんね。

ペダリング技術がないと早く走れない

ピストは固定ギアなので、当然ロードバイクのようなギアチェンジはできません。 ピストでスピードを出す方法はとにかく早くペダルを回れる事に尽きます。

こうやって言うのは簡単ですが、いざ実際にピストに乗ってペダルを回してみると、自分なりにはいっぱいいっぱいで回しているにも関わらず、他にトラックを走っている人にガンガン追い抜かれました。 こうやってだいたい同じ条件で走っているにも関わらず、こうまではっきりと速度に差があると、自分のペダリングスキルがまだまだだと思い知らされます。

自身のペダリングスキルを分かりやすく可視化する機会なんて、ピストに乗って見ないとないです。 強くなりたいサイクリストは一度ピストを試してみるのもありだと思います。

時間を見て通ってみる

今回、ピストとバンクを体験して見ましたが、シクロクロスやロードバイクでは味わえない走行感を体験できたり、自分の課題を見つけることができました。 特にペダリングスキルの向上にはピストでの練習は良さそうです。

今後も機会を見繕って競技場での走行会に通ってみようと思います。 ただ、雪が降り始める12月頭には自転車競技場は冬季休業になってしまうようで、今年のうちに走れる機会はそう多くありません。

年の暮れが近づくとそれに従って仕事も忙しくなってきますが、こりゃ仕事なんてやってる場合じゃなさそうですな。