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スティーブ・ジョブズが神格化されすぎている件

去る9月10日、AppleよりiPad Proと専用スタイラスのApple Pencilが発表されました。

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これまでもサードパーティからiPadに対応したスタイラスが登場していましたし、Wacom Intuos Creative Stylus やAdonit Jot Touchなどのイラスト制作に向いた高機能な筆圧感知を備えたスタイラスもありました。 このタイミングでApple自身もスタイラスペンを発表するのは、市場のニーズに合わせた当然の行動だと言えます。

しかし、Apple Pencilに対しての否定的な意見も少なくありません。 大手のニュースサイトですら、こんなタイトルで記事を書いています。

www.gizmodo.jp

ただ、彼らの否定の根拠は「スティーブ・ジョブズならどう思うんだろう?」などと書いてある通り、故スティーブ・ジョブズがスタイラスを否定したことに拠っているのです。

コンピュータ業界は日進月歩で変化する

改めて言いましょう。スティーブ・ジョブズは2011年10月5日に亡くなっています。

故に、スティーブ・ジョブズは過去の人です。 彼がどんなに天才であったとしても、素晴らしい先見の明を持っていたとしても、それは2011年までの話です。

さらにはスティーブ・ジョブズが「Who wants a stylus?」と言っていたのは8年前のiPhone発表の頃までさかのぼります。

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これを見る限りは、スマートフォンにスタイラスを使うことを否定的に言っているだけですね。

iPhoneとiPadでは使われ方は変わり、そして使う人も変わります。 さらには、iPad自体のスペックも向上しているため、より様々なニーズに対応できるようになっています。

現に、iOSデバイス対応のスタイラスは各社から発売されていますし、それらに対応したアプリもあります。 上記のApple Pencilのデモ動画でも、明らかにグラフィックデザインの現場にて使われることを想定しています。

ですので、当然ながらiPhone発表当時からは事情が違います。 スティーブ・ジョブズがスタイラスに否定的だったのは当時のiPhoneに対しての意見であり、高性能タブレットに対するものではありません。

Apple Pencilは現在のニーズに合わせて生まれるべくして生まれたのです。

スティーブ・ジョブズの威を借る信者

では、なぜスティーブ・ジョブズの発言を根拠にしてApple Pencilを否定する人がいるのでしょうか。

それは簡単です。彼らは何も考えていないからです。

今回のApple Eventに対して自分の中には特に意見がない、でも何かしら意見したい。 そんな時にAppleに対して最も権威のあるであろうスティーブ・ジョブズの言葉を借りてきたということです。

死人に口なしとばかりに故人の言葉を借りて言いたい放題意見するなんて死者への冒涜です。

スティーブ・ジョブズを崇拝するのは個々人の勝手ですが、信仰心余って視野が狭くなり、何でもかんでもに否定的になるのはいかがなものかと思います。

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II