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ミニマリストは特別な人間なんかじゃない

photo by dugspr — Home for Good

やたらとミニマリスト記事の反応がいいので、続編を書いてみた。

tora-sub.hatenablog.jp

ここ1年でミニマリストを自称する輩が増えて、すでにメジャー化したとも言っていい。
だが、未だにミニマリストであることが特別なことだと思い、ただの貧乏暮らしの様子を晒してミニマリストを名乗る者もいる。

改めて言っておこう。ミニマリストは特別なんかじゃない。

ミニマリストはありふれた存在だ

ミニマリストを名乗らずとも、すでに現代人はミニマリストのような生活を強いられている者が多い。
収入が少なくて食うに困るがために物を持てない者。あるいは仕事に追われて消費する時間を確保できない者。病気で生活を彩る余裕がない者。
金、時間、体力、気力、etc・・・ 一定水準の生活を送るために必要な何かが欠けていれば、望まぬがままに生活をミニマルにせざるを得ないのだ。

そういう生活に耐えきれなくなった矢先、ミニマリストという概念が現れた。
それは彼らを社会からつまはじきにされた存在ではないと思わせるのに十分な潜在力を持っていた。
彼らは自己を正当化し、自らのアイデンティティーを確立するためにミニマリストを名乗った。否、名乗るしかなかった。

元々誰もが特別になれるわけじゃない

そもそも、特別な何かになろうとすること自体に疑問がある。

マスメディアがテレビしかなかった頃には、テレビに出演して全国に名を轟かせること自体が偉業みたいなものだった。
しかし、インターネットが市井に普及したことで、以前よりかはメディアに露出することが用意になり、今までは顕在化していなかった「特別な存在」が見えるようになった。
そして、「特別な存在」となった彼らの後を追うように、皆の注目を集めようと炎上を招くような騒動を起こした。
一時期のTwitterでの炎上騒ぎも、そう言った特別になりたい人たちが目立とうとした結果だろう。

ミニマリストを目指すものもまた、そう言った「特別な存在」に憧れを抱いて行動を起こしている。
ただ、ミニマリストを目指すものは、自分たちに特殊な能力がないことを自覚しており、社会通念に反すような炎上騒ぎも起こしたくないと思っておりからこそ、「何もない」というだけで名乗れるミニマリストを目指しているのだ。

「特別な存在」になりたいという歪んだ承認欲求と、常識や良心に板挟みされた末に生まれた。それがミニマリストだ。
だが、すでにミニマリストは「特別な存在」などではない。
ミニマリストを目指す者は、「特別な存在」ではないとわかった上でもミニマリストを目指したいのかを今一度立ち止まって考えるべきだ。

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